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【私の師】

2020.03.03

リハビリの現場の様子を
ブログで紹介しています。
リハビリのことが
少しでも伝わると嬉しいです。

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皆様におかれましては昨今の新型ウィルスの影響により、普段の生活に制限を受け何かと不自由な思いをされていると思います。

つきましては私より、僭越ながら皆さまのお気持ちを代弁し、一言申し上げさせていただきたいと思います。

 

コロナの!!!!

バーーーーーカ!!!

 

ほんと不謹慎極まりない感じで御免なさいね。

(ナンバガや椎名林檎のライブ配信が最高過ぎてまだまだ現実味がおびず、”あれ?不謹慎って何なん?”となって、色々どうでも良くなってる田邊よ。とりあえず、私世代の青春達よ…お帰りなさい。。)

 

 

 

この3月で、田邊は脳リハ名古屋に入職してから一年が経過しました。

脳リハ名古屋は、始め石垣一人で。続いて私が入職し、そして今は岡田がいます。

 

6年前、回復期病院を退職してから、人で「一緒に働く場所を作ろう」と各々の足で歩みを始めました。

 

ようやくその想い叶う場所ができ、現在「3人」で一緒に仕事をしています。

今ここにいないその一人もまた、「共に働こう」と気持ちを揃え、揃えさせてくれた大切な人物です。

ほんの少し、今日だけ、今ここに居ない彼の話をさせてください。

 

 

彼の私への第一声は

ねえ、月の重力って分かる?」でした。

もちろん私は、「まじ何の話してんだよ」って感じでした。

 

まだ何も分からない1年目の小娘に、丁寧に真摯に、自分たちは今どのような環境に身を置いて、患者さんたちはどのような状況に置かれてしまっているかなどを、カタルシスや月の重力や瞑想など様々なことを用い60分の間で話し、腑に落ちさせてくれました。

 

 

第一印象は、「変わった話をする面白い眼鏡の太ってるおじさん」でした。

 

 

次の日から私は、彼と患者さんを一緒にみる機会を、出来る限り多く作りました。

そして彼は、沢山の不思議と出会わせてくれました。

 

さっきまで、座れなくて倒れてしまっていた人が、いつの間にか座れるようになったり。

35℃しか体温が無かった人の体温が36.5℃に上がったり。

手首の炎症の方に対して、そこには一切触れずに炎症部位の熱感が引いたり。

彼に触れられるだけで、涙する人がいたり。

 

 

まるで魔法使い。いつもワクワクしながら見ていました。

 

「今日はどんなことをするんだろう。」

「彼なら、どんな風に関わるのだろう。」

「どの位この患者さんは変わるだろう。」

 

 

彼は、こんな偏屈な私にも伝わる言葉や態度や内容で、気持ちやその意味を惜しみなく注ぎ、そして丁寧に伝えてくれました。

人の興味をひきつける事が巧みな彼だから、多くの人から慕われています。

彼はいつでも優しく、時に幼く、なのに知的で、そして弱くお茶目でまっすぐな、そんな魅力的な人でした。

 

 

彼は、私の人生の最初で最期の「」です。

 

 

そんな師の下で、ぬくぬく守られ育ててもらい、今日に至っています。

臨床家としての私は、彼が居なければ存在し得ません。

 

 

ここ(脳リハ名古屋)で働く事を伝えた時、

「また、安いお酒でも交わしながら、下らない話に花を咲かせられる日を楽しみに仕事をしましょう。あと少しだね、頑張ろう。」

と言ってくれました。

 

 

「あと少しで、6年間の想いが形になるね」なんてことを、石垣と話している矢先、彼は他界しました。

少し肌寒くなってきた頃のことでした。

 

 

あまりに突然の事で、どっきりかと思っていました。

物凄くたちの悪い冗談なのかと。

顔をみた時、現実だったことへの驚きと、穏やかな表情で少し胸を撫で下ろした真逆の感情が入り混じっていたのをよく覚えています。

 

 

様々なことを終え、一人になった時、

ふと、「これからどうすればいい」と頭をよぎりました。

 

 

臨床家としての私は、彼が居なければ存在しない。

私は、彼の臨床が大好きだった。憧れていたし、目指していた。

「居なくなった今、どうすれば良いだろう。」と、少し冗談交じりに、大切な人に呟いていました。

 

 

すると彼女は私に

「いま目指す場所がなくなったと思うなら、無くていい。無いと思って迷えば良い。迷いに迷いに迷って自問したその先に、きっと”その人”がいる。十二分にあなたの心の中にその場所はあるよ。あとはその燈を大事に守ればいい。」

 

 

その時は「とりあえず今のままの感情で良いのかな。」と思えました。

時を経て、師匠とゆかりある、とある先生とお食事へ行きました。

 

 

その先生が言いました。

俺は、先生の遺伝子を受け継ぐ。

君らは名を継げ。と。

 

 

その時ようやく、彼女の言葉の意味が少し理解できた気がしました。

私の中に先生が居て、それはきっと、石垣の中にもおかっちの中にもいる。

私たちは、名も継ぐが遺伝子もしっかり受け継いでる。

先生は居ないけど、こっそり私たちの中の遺伝子に紛れ込んでるんだな、と思いました。

 

それに気づいてから、もう少しこの仕事を続けてみようと思えました。

 

 

 

いつだったかな?先生がほろ酔いで嬉しそうに言ってた。

「4人。作業療法士が2人で、理学療法士が2人。バランス良いね。良いじゃん。」

うん、バランス、良いよね。

けど、今は「作業療法士が2人で、理学療法士が1人。」

 

バランス、悪くなっちゃったよ、先生。

 

 

バランスが良いんだか悪いんだか分からない馬鹿弟子3人で仕事してますよ。

飽きっぽい田邊が、なんと一年間続けて働けましたよ。

石垣とおかっちに、たんまり甘やかされてますよ。

色んな先生方が、うち(脳リハ名古屋)に来て指導してくれたり、一緒に悩んでくれていますよ。

先生にも、一緒にみてもらいたい利用者さんが沢山いますよ。

あなたの頭脳と、遺伝子。

皆で受け継いでますからね。

 

 

けど、いつまでも先生を目指したら、先生以上にはなれないので、

私は、私の道を歩むかんね。

どうか今後とも、いつかのリハ室の様に後ろからジトっと見つめ、ため息をつき「ったく、下手だな~。貸してみ。笑」と挑発しに来てくださいね。

 

 

 

あまり振り返りたくない一年だったけど、何とか振り返れました。

どこにでもある言葉ですが、

まさに「出会いあれば別れあり」です。

 

 

佐藤広美先生のような素晴らしい出会いもあったし、

師匠のような別れもあった。

こんなことを生きてるうちは何度だって繰り返すんだろうな。

 

 

いつだって失くしたものを数えることが得意になっちゃいけないのな。

在るものに、在るものを見出さなきゃいけないの。

けど、時々それが難しいことがあるよな。

片麻痺の患者さんを相手にしてると、それをひしひしと感じる。

少し、心が落ち着かないなって感じてた年末を過ごしてた時の私は、

失くしたものばかり数えてた。

そんな時、ある利用者さんが言ってた、

 

 

 

仕方ないじゃん。

こうなっちゃったんだもん。

やるしかないよね。

 

 

 

何気なく言ってたけど、それを言えるまでの過程はきっと壮絶だったんだと思うと、言葉に詰まったし、涙が出そうだった。

 

私も、やるしかないんだって思えた。

 

このような心境になれたのも、色んな方と出会い、関わり、支えてもらい、時には突き放され、叱咤を頂き、それでも我がままで飽きっぽい私の傍を離れないで見守って下さった、皆さんのお陰なんです。

 

この場をお借りして、お礼申し上げます。

 

 

さて、次の一年はどうなるんだろう。

不安と期待がいっぱいですが、

 

 

 

It’s a lonely road.

But I’m not alone.

そんな気分。です

 

 

 

こんなただの個人的な、ただ書き殴って何の纏まりのないブログに最後まで目を通して頂き、本当に有難うございました。

夜も更けました。

帰るとしましょう。

 

コロナ、はよ消えて。

トイペ、お願いだから今日は残ってて。

aiko、サブスク解禁まじ有難う。

 

では皆さま、おやすみなさい。

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