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手が開かない理由は「脳」にある

2025.07.24

リハビリの現場の様子を
ブログで紹介しています。
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少しでも伝わると嬉しいです。

手が開かない理由は「脳」にある

〜片麻痺で「手を開く」が難しい本当の理由と、そのリハビリアプローチ〜

はじめに:なぜ、手が開かないのか?

脳卒中の後遺症で片麻痺が残った方にとって、「手を開く」という動作はとても難しいものです。
「力を抜いてるのに手がグーのままになってしまう」
「手を開きたいのに、開く命令が届いていない気がする」
そんな声を、私たちは日々たくさん耳にします。

結論から言えば――
手が開かない理由は、筋肉や手そのものの問題ではなく、“脳”にあるのです。

この記事では、「なぜ手が開けなくなるのか?」という根本原因を脳の仕組みから解説し、そこから導き出されるリハビリの方向性についても触れていきます。

脳からの「開け」という命令が届かない?

私たちの身体は、脳からの指令によって動いています。
「手を開いて」と意図すれば、運動野と呼ばれる脳の一部が活性化し、そこから脊髄を通じて「伸筋(指を伸ばす筋肉)」へと命令が送られます。

ところが、脳卒中などでこの経路が損傷されると、開く命令が届かなくなるのです。

さらに、「手を開く」という動作は、

  • 姿勢を安定させる
  • 体幹との協調をとる
  • 視覚や触覚のフィードバックを受け取る

といった、複雑な機能の統合の上で成り立っています。

つまり、ただ指を伸ばせばいいという単純な話ではなく、脳が「手を開く準備」を整えてくれる状態が必要なのです。

片麻痺でよく見られる「グーになってしまう」状態とは?

多くの方が経験されるのが、「勝手に手がグーになってしまう」「指を伸ばそうとすると余計に握ってしまう」という現象です。これは屈筋優位の反射パターンと呼ばれ、片麻痺の方によく見られます。

これは、脳の抑制力が失われたことにより、本来なら制御されている“原始的な反射”が暴走している状態です。
つまり、意図していないのに「握る反射」が出やすくなっているのです。

この状態で「無理やり手を開かせる」ようなアプローチをしてしまうと、かえって反射を助長してしまうこともあります。

「手を開く」ための正しいリハビリアプローチ

片麻痺のリハビリで「手を開かせる」ことを目標にする場合、重要なのは脳の再学習(ニューロリハビリ)です。

具体的なポイントは以下の通り:

① 姿勢・体幹の安定性を整える

手の動きは全身の安定性と連動しています。体幹や骨盤の不安定さがあると、手を開く指令がうまく機能しません。

② 視覚や触覚など感覚入力を活用する

見る・触れるといった感覚刺激は、脳にとって非常に重要な入力です。手を見る、触れる、動きを意識することで、脳の回路が活性化しやすくなります。

③ 手指の筋肉を直接鍛えるのではなく、「動きを引き出す」

「握る」動作ばかりに頼らず、指先で何かをつまむ・なでる・そっと置くといった繊細な動きから脳を刺激していくことが効果的です。

まとめ:手が開かないのは、あなたのせいじゃない

「頑張ってるのに手が開かない…」
そんなふうに自分を責めてしまう方も少なくありません。

でも、手が開かないのはあなたがサボってるからでも、筋肉がダメだからでもありません。
それは、脳の回路が一時的に混線しているだけ

回路は、丁寧に・正確に・繰り返せば再構築されていきます。
そして「手が開く」という動作も、きっともう一度あなたの手に戻ってくるはずです。

焦らず、あきらめず。
一歩ずつ、一緒に取り戻していきましょう。

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