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短期集中コース ~彼女に宛てる手紙~
2019.05.30
リハビリの現場の様子を
ブログで紹介しています。
リハビリのことが
少しでも伝わると嬉しいです。
大して仲良くもない男性から「お前は丁度いいブスだよな。あ、これ褒めてるから。そういえば今度飲みに行かない?」と言われたんですけど、こちとら最高の女になりたくて日々自分に課金しまくってるから、微塵も誉め言葉に感じないし、「死んでもお前なんかと飲みに行かねえ」と殺伐とした気分になった田邊です。(連絡先削除完了☆)
さてさて、、
今回は短期集中の方について綴りたいと思います。
少々長くなりますので、温かいコーヒーでも飲みながら、ゆるりとご覧ください。
先週お見えになっていました。
5月20日~24日、1回90分で計9回実施しました。
左片麻痺の女性の方です。
第一印象は、「真面目」
初めての場所ということもあり始めは少し顔がこわばっていたのをよく覚えています。
麻痺を呈してから、訪問リハビリなどを受け、またご自身でも積極的に「自分流のリハビリ」をされていたそうです。(腹筋とか腹筋とか腹筋とか…)
病前の彼女は明るく、よく旅行に行かれたり、積極的な性格で生活だったそうなのですが、左麻痺になってからは、外出することが億劫になったそうです。
そんな日々を過ごしていた彼女に、朗報が届きました。
娘様のご懐妊。年内にお孫さんが生まれるそうです。
彼女は思いました。
「生れてくる子どもを抱っこしたい。けど、この腕じゃ…」
そんな時彼女の親族から弊社を紹介されたそうです。
今回、彼女と掲げた目標は
「生れてくるお孫さんを抱っこできようになること」でした。
先ほども(以前も)ここで書きましたが、彼女は自己流のリハビリをされていました。(腹筋とか腹筋とか腹筋とか…)
利用されていた訪問リハビリは彼女自身が意味を感じず、筋トレや歩行練習なら、自分でもできると判断され訪問リハビリは中断されたそうです。
ここに訪れた彼女の体は、悲鳴を上げる寸前でした。
過度に使いすぎた右半身、過度に使用しなかった左半身。
初見で歩いている姿を見た時には、彼女自身はまっすぐ立っているつもりでも、傍から見ると「くの字」に曲がり、手はぶら下がっているだけの状態。
彼女に手のことについて問うと、
「力めば曲がるけど、そこから伸びないし、自分の意志で動いたことがない。動いてほしいと思うけど、動かない。」とのことでした。
あくまでも私の個人的な見解ですが、「この手動くんじゃないかな?」と感じ、それをそのまま彼女に伝えました。
彼女は
「そうですか~?それなら嬉しい。」と半信半疑の生返事でした。
彼女からの理解と信頼を得るべく、初日の90分は手だけに集中して介入しました。
空間で腕を上げておくことが難しかった彼女は開始40分ほどでそれができるようになり、
空間で腕を保持したまま、肘の曲げ伸ばしが可能になりました。
しかし疑い深い彼女は、まだ「手が動く」と信じていませんでした。
初日の介入の終える時間が近づいてきた時、彼女に言いました。
「指を伸ばしてみて?」と。
真面目な彼女は懸命に取り組んで下さり、そしてそこで初めて気づきました。
「手が動く」と。
残りの4日間は、動く感覚を頼りにしたり、動くところと動いていないことろ区別したり、どうすれば動きやすいか、なぜ手がぶら下がっているだけなのか、筋力も大事だけどその前に筋肉の長さを確保することが大切なこと、腰痛があるなら腹筋はやめよう、、など、どんどん吸収していきました。
最終日。
彼女との目標を達成すべく、枕を抱きました。
枕をお孫さんに見立てた彼女の手の使い方は5日間の中で最もよく動き、しっかりと、そして優しく包み込むことが出来ていました。
しかし5日間で彼女との目標としていた「生れてくるお孫さんを抱っこできるようになること」は完全には出来ませんでした。
しかし彼女から我々に投げかけられたのは、
「希望を持てた/来てよかった」
「凄く頑張ってくれて嬉しかった」
と感謝の言葉でした。
同じことを私も石垣も、最後の日一緒に時間を過ごした岡田も感じていました。
「希望を持てた/来てくれてよかった」
「凄く頑張ってくれて本当に有難う」
「費用対効果」
コストパフォーマンス。
保険外リハビリをよろしく思わない方々は、保険外リハビリに対しこの言葉を度々使用します。
そんな彼らの主張は
「麻痺は治らないのに、高額な請求をし”諦めない”や”良くなる”など謳うのは無責任だ。費用対効果に見合わない。」
ごもっとも。
確かに、損傷を受けた脳の部位は現時点では根治困難ですもんね。
「根治」という観点からは費用対効果は望めませんし、今回の彼女のように目標を達成できなかった場合にも疑問に感じずにはいられません。
けど、彼女は感謝してくれました。
保険外リハビリを利用される方々、全員が全員「麻痺を根治してくれ」と訴えているわけではありません。
昨今の情報量から、現時点の医療行為では「根治」は難しいと理解されています。
ただ、「自分と誰か」「自分と物」と以前ほど上手く付き合えなくなり、精神的・身体的に不利益が生じ、その生活を改善・方向転換が可能になるよう手助けが欲しかったり、共に歩んで欲しかったり、「今よりも少しでもマシになりたい」と思っていて、そのように訴えてくださる方は意外と多いのです。
今回の彼女もそうだったのかもしれません。
短期集中なので、本当に短い時間です。
勉強になりました。
微力ながら、少しでもお役に立てたのなら、本当によかった。
最後に、私の好きな作家の言葉を、彼女に贈りたいと思います。
Don’t walk behind me. I may not lead.
Don’t walk in front of me. I may not follow.
Just walk beside me and be my friend.
By Albert Camus
僕の後ろを歩かないでくれ。僕は導かないかもしれない。
僕の前を歩かないでくれ。僕はついて行かないかもしれない。
ただ、僕と一緒に歩いて友達でいてほしい。
アルベール・カミュ
貴重な時間と経験を本当に有難う。
友というより戦友な気持ちです。
貴女が貴女の家族や周りの人と、安全に幸せに過ごせますように。
それではっ☆
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